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JMAマーケティングコラム 第42回「次のシニア世代『ポスト団塊』をどう視るか」

2015/06/26

タグ:ポスト団塊 シニア 澁野 一彦

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
取締役フェロー 澁野 一彦

◆影が薄い?次世代シニア『ポスト団塊』

『59歳は、中年として最後の喝采を受ける年である』(デスモンド・モリス:『年齢の本』)
今、この中年の最後、そしてシニアの年齢に差し掛かっているのは、キャラの濃い《団塊世代(65〜69歳)》と《バブル世代(46〜56歳)》に挟まれ、どうにも影の薄い?《ポスト団塊世代(57〜64歳)》である。

《団塊世代》については、今本格的なリタイヤの時期を迎え、リタイヤ後の行動、意識が顕在化してきている。
この人口ボリュームの大きい《団塊世代》だけがアクティブシニア・マーケットとして注目されがちであるが、その後5年もすれば、《ポスト団塊世代》が(アクティブ)シニアの中心になる。

《団塊世代》については、幾度となく世代効果を論じられているが、意外にも次のシニア世代である《ポスト団塊世代》についてはあまり活発な議論は進んでいないように感じる。
ただ、この《ポスト団塊世代》は、価値観転換の節目にあたる世代でもある。

●《ポスト団塊世代》とは・・・・・
学生運動が下火になった時期に成人を迎えたこの世代は、政治に無関心、無責任、無気力な世代と言われ、何においても熱くなりきれずに、少し冷めた傍観者のように振る舞い「三無主義」「しらけ世代」「断層世代」などと呼ばれた。(「しらけ世代」の特徴である「おとなしい」「覇気がない」は、団塊ジュニア以降のキャラと重なる・・・・)

ただ消費に関しては、デザイナーズブランド(DCブランド)やテニス、スキーなどが流行った時代に青春期を過ごし、《団塊世代》に比べて多様な経験を持っている。『POPEYE』『ホットドッグプレス』が男の子のバイブルとなり、キャンパス・ライフや合コン(懐かしい)を最初に楽しんだ世代でもある。

図表1団塊世代とポスト団塊世代の特徴.gif


◆『団塊世代』と『ポスト団塊』の世代間ギャップは大きい

弊社「シニアライフセミナー」などで指導頂いている学習院大学の乳井端代先生は、「団塊世代以後の方が、シニアの行動に世代効果が大きく影響するかもしれない。《団塊》だけでなく、次世代《ポスト団塊》にも目配りをする必要がある」と指摘されている。

団塊世代とポスト団塊世代の違い.gif



●暮らし向き意識と経済資源

以下は当コラムで何度も掲載している「シニアの暮らし向き指標」を《団塊世代》と《ポスト団塊》で比較した表。
これを見ると、《ポスト団塊》で暮らし向きの未充足が際立つ。特に《ポスト団塊男性》では、暮らし向きが最も厳しい「プア不充(=経済的余裕はなく、生活に対しても不満足)」層が、全体の4割を占める。

図表2経済的余裕度×生活の満足度.gif

また、将来不安についても《ポスト団塊世代》は《団塊世代》以前と比べ不安が大きく、経済資源(貯蓄額)にも世代間格差が横たわる。

図表3世代別の将来に対する不満.gif
弊社で実施したシニアを対象とした定性調査(2013年12月実施)でも《ポスト団塊世代》の男性は、「幹部社員になってリーマンショックを経験し、これから収入が増えないと思った。父親の介護で大変な思いもしたが、そういったものを目にすると、自分も考えないといけない。高齢の妻の母親の介護も考えるとこれからは出費も増えて、年金などの社会環境も大変になる」など、将来への不安と生活の節制を口にしている


●だから〜堅実にリタイヤ後の将来設計を準備

《団塊世代》の大量退職が始まり、その後のポストに就くが、上の世代が残した「負の遺産」の整理にも追われる《ポスト団塊》。不況期に子どもの教育費と住宅ローンを抱えていたという人も多く、今までの消費は抑え気味。子どもが独立した今、次に目がいくのは退職後の生活。

現役時代の反動からかセカンドライフ志向が強い点がこの世代の特徴。彼らは、早い時期からリタイヤ後のセカンドライフについても着々と準備を始めている。

〜早期退職し、2年前に横浜市内の自宅を引き払いマレーシアで暮らし始めた59歳と57歳の山本夫妻(仮名)。「これから年金価値が目減りしそう、生活防衛のために移住した」と語る。(日経新聞記事より)
日本の社会保障を不安視し、会社を早期退職、資産とともに完全移住する《ポスト団塊》が増えているそうだ。


●ネットへの親和性がぐっと高くなる《ポスト団塊世代》

総務省の平成26年度『通信利用動向調査』(調査は25年実施)で、年代別のインターネットの利用率をみると、50代で91.4%、60〜64歳で76.6%、65〜69歳で68.9%となり、70代の48.9%を大きく上回る

《団塊世代》以降は、仕事でインターネットを活用していた人も多く、特に《ポスト団塊》はインターネットの利用頻度が高く、インターネットを日常に使い熟す層である。今後リタイヤすると自由時間が増えることから、インターネットを活用した情報収集や商品購入も、更に一般化していくと考えられる。

また《団塊》より上の世代が、「新聞」を重要な情報源として利用しているのに対し、《ポスト団塊》は「雑誌」や「フリーペーパー・ミニコミ」など、よりクローズドな紙媒体を利用している点が注目できる
(弊社「シニアライフ・センサス2014」より)
これも『POPEYE』や『クロワッサン』などに親しんだ当代世代ならではの特徴である。

いずれにしろ《団塊世代》以前と、次世代シニアである《ポスト団塊世代》の生活資源や生活意識には、"世代による差異"(世代効果)が、色濃く反映している
ここまで指摘したように、これからのシニアマーケットへの対応を深めるに当たり、世代の価値観、経験によって変わるもの(そして変わらないもの)、あるいは加齢によって変わるものを見極ることが重要になってくる
次回は引き続き、"世代間ギャップの実態"を、今期も実施する定期調査「シニアライフ・センサス2015」を基に検証・見極めをしていきたい。
                                       
続く

■参考資料
・「JMAシニアライフ・センサス2014」報告書
・JMA第3回シニアセミナー:「つながりがシニアの消費を産む」学習院大学 乳井瑞代先生
・日経新聞記事「シニア癒やす南国の風 カメラが見た長期滞在の現場」