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mジェネレーションマーケティング 第2回「スマートフォン」

2010/08/05

タグ:モバイルマーケティング 株式会社シトラスブレインズ 吉田 謙

最近スマートフォンが話題ですね。
i-Phoneを筆頭に、ソニーエリクソンのXperia等を筆頭としたAndroid携帯まで、メディアで取り上げられない日はほとんどないのではないでしょうか。
広告代理店の方にお話を聞いても、「スマートフォン向けのサイト」なんて話もよくお聞きするようになりました。
「まずい!早くスマートフォン向けに何かしないと!」などと考える方も多くなりつつあるようです。

さて……。
スマートフォンは、パソコン向けのWebサイトが見られるわけです。
じゃあ、「スマートフォン向けに何かする」とは……なんでしょう?

3年前位に「そのうち携帯でパソコン向けのサイトが見られるようになるんだから、携帯サイトなんてそのうち意味が無くなる」なんて言う意見を聞くこともありました。
もしかしたら、今もそう思っている方が多いのかもしれません。
貴社はどうでしょうか?

マーケティング活動において、まず大事なもの。
それは、ターゲットです。

そして、プロモーションや、販売チャネルなど、ターゲットとのコンタクトポイントを考える上で大事なこと。
その1つがTPOだというのにも異論はないかと思います。

さてここで。
PCサイトしか力を入れてこなかった企業で、唐突にスマートフォン向けサイトを増やしたとしても狙い通りにサイトのプロモーション効果が上がるのでしょうか?

答えは……NOでしょう。

スマートフォンはあくまで「携帯」。
「機械」としては確かにパソコンサイトが見える端末ではありますが、使っている消費者の「TPO」は限りなく携帯のそれに近いわけです……。
そんな消費者の「情報に対するニーズ」が、パソコンの前に座っている人と同じわけはありません。
「スマートフォン向けにはパソコンサイトで十分」と考えるということは、電車の中吊に、カタログをぶら下げたりするようなものといっても過言ではないでしょう。

そしてもう1つ。
スマートフォンで「何かする」ことで、話題性を作るのはよいと思いますが、マーケティング上の即効性のある効果を期待するのはやや時期尚早かもしれません。

ちょっと古いデータですが、2009年9月現在での、国内での携帯電話の普及台数は1億963.4万台、人口との比率でいうと、89.3%もあります。
そしてそのうち、第三世代携帯加入率は95.3%にのぼります。

そして、話題のスマートフォンは、3~400万台の普及とみられていますので、通常の携帯との比率でいうと、まだ3〜4%程度。
そして、現在スマートフォン所有者は「通常の携帯との2台保有」が多いと言われており、実質比率は100:3といえます。

この3%に対してのプロモーションが有効なのか否か。それは様々な考え方があると思います。
しかし、前述の「TPO」を考慮すれば1つ言えること。それは、「従来の携帯を活用したマーケティング経験のない企業が、スマートフォンでいきなり成功することは難しい」ということでしょう。
なぜなら、24時間365日、カラダから30cm以内にある「自分の分身」であるメディアであることは、従来の携帯もスマートフォンも変わらないからです。

机の前に座ってじっくりと見るパソコンサイトをスマートフォンで見せても、それはスマートフォンをパソコンの代替として利用する「パソコン世代のユーザ」による「時間があるときの利用シーン」にしか有効ではないはずです。(パソコンサイトはそういう設計になっているはずです)

だからこそ、「ケータイ」を中心として利用する、「mジェネレーション」の行動や価値観を理解し、彼らへのアプローチを理解し、成功している企業でないと、スマートフォンが普及したとしても成功する確率はかなり低いだろうと推測できるわけです。

では、パソコンよりケータイに順応した「mジェネレーション」って、いったいどういう人たちで、どのくらいの人口がいるのでしょうか?

そして、さきほどから出てきている「TPO」。
ケータイユーザは、どういうときにケータイを使っていて、どのくらい消費行動に影響をあたえているのか?というのも気になるところですね。

次回あたりからは、「mジェネレーション」がどういう人たちかを探っていきつつ、ケータイマーケティングの成功企業と、成功出来ていない企業の「ポイント」についても徐々に触れていきましょう。

次回あたりから、少しずつ本格的に行きますよ!

吉田 謙
株式会社シトラスブレインズ 代表
http://www.citrus-brains.com/
東京大学法学部卒。1998年NTT(のちNTT東日本)入社。
新規顧客開拓の専門チームで、インターネット活用の新規提案や事業提案を担当。学校法人の新規事業コンサルティングや保育園へのネットカメラ導入、政令指定都市への制作提言書策定など特殊案件を担当。
のち「Flet’sシリーズ」マーケティング部門にて販促施策・Webサイト担当。2002年20人規模のベンチャー企業に入社し、大企業向けWeb/モバイルサイト構築事業・ソフトウェア事業を立上げ、のち営業・技術部門を統括。通信キャリアや放送事業者、外資系製薬企業など大規模サイトの構築に多数携わる。
2006年に100人を超える規模まで成長した同社から独立。シトラスブレインズを設立。先進技術とマーケティングの両面に基づくコンサルティング・プロデュース事業を、多数のベンチャー企業・技術者とのパートナーシップにより展開。特にマーケティング戦略と組織、システム全体の最適化や、先進技術の組み合わせによるコストパフォーマンスに優れたサイト・システム構築を得意とする。2010年より製品事業に進出。
著書「モバイルマーケティングを活性化する 企業携帯サイトの構築」(秀和システム・2章、4章、5章を担当)、他にWeb/携帯分野での雑誌への寄稿・講演など。3児の父・兼業主夫。