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マーケティング・対比思考 第3回「"好奇心"と"郷愁心"」

2010/10/28

タグ:デザイン 梅津 順江

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
DGI 室 ディレクター インタビュアー 梅津 順江

パッケージデザインの評価指標には、
≪目立ち度≫≪好感度≫≪製品特長の理解度≫≪シリーズ感≫≪操作性≫≪競合との差別(識別)性≫≪プロダクトとの合致度≫などがある。

これらの中で、個人の嗜好差が大きく、解釈が最も難しいのが、≪好感度≫の指標。果たして、どのような心理やカテゴリー体験から≪好感(美しいと感じ、よいイメージを抱くこと)≫が生じているのであろうか。

好感を持って関心につながる購買心理を分類すると、様々な要素が考えられる(例えば、以下)。
イメージワードの対比.gif


パッケージをパッと見たときに、"好奇心(あこがれ)"の本能と"親近感(なじみ)"の本能とが、同時に交差する。"好奇心"は新しいものに憧れる気持ちで、『舶来の』『モダン』『都会的』などと表現される。
"親近感"は孤独を避けて安全を守るため保守的な心理を生むものだが、それが"郷愁心"に結びつき、『日本の』『古典的』『素朴』なものを求める気持ちである。



先月、奈良の「平城遷都1300年記念祭」に足を運んだ。そこでは、催し物の数々を"古いものを新しい技術"で、見せていた。

広大なスケールの敷地に佇む平城宮跡、古代行事の再現アトラクション、バーチャルリアリティを駆使した遣唐使&平城京VRシアターでのマルチスクリーン、天平衣装のなりきり体験・・。

国際都市として栄えた平城京の歴史と文化に思いを馳せながら、静けさの中に華やかさがある空間の中、現代技術をも全身で体感することができた。
私が持っている"好奇心""郷愁心"という対照的な感情が同時に満たされたのである。



アメリカのデザイナーのレイモンド・ローイの「ショック理論」というのがある。
― この理論は、「デザインが良くなるにつれて売れ行きが良くなるが、ある程度を超すと返って売れ
 なくなる」というもの。

つまり、人間には矛盾した感情があって、"憧れ"は遙か彼方であるが、"心の安らぎ"はごく身近なところにある、ということ。
パッケージデザインにおいても、バランスを兼ね備えていることが重要ということであろう。

絶妙なバランスを調査で正確に把握することは難しいかもしれないが、パッケージデザインにおいても、そういった理想のバランスが存在するのではないか。"好奇心""郷愁心"の2つの感情の均衡が保たれることで、ショッパーが心をつかまれ、満足度が高くなるのだとしたら、この対峙した視点を念頭に置いて、パッケージデザインに接していきたい。
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