株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
代表取締役社長 澁野 一彦
JMAの"シゴト"の紹介第二段
JMAでは、数々の消費財やサービスのマーケティング・リサーチに取り組んできました。
商品開発やマーケティング活動では、そのプロセスの中で様々な分岐点があり、消費者の建前論、本音の中から真実を見極め、時にブレークスルーしながら結論を導き出していく必要があります。
私たちはこの様々な分岐点に出会い、グループインタビュー、デプスインタビュー、商品テスト、サーベイなどの調査のケーススタディを積み重ねる中で、結論を導き出すためのアプローチメソッドを開発・蓄積してきました。
これらのアプローチの考え方、方法は、いろいろな課題にも応用できる汎用的なものです。
調査で得た情報も、そのままでは無機的なデータでしかありません。収集した情報を整理、再配置し、データを加工することで如何に有機的な情報に変えていくかが重要です。
また収集した情報の加工は、一人のリサーチャーがまとめるより、多くの人間が様々な視点から議論してまとめたほうがより有効な結論を導き出せると考えます。当社では、この過程を ブレーンストーミングを実施しながら進めています。
今回から数回にわたって、私どもが今まで実施したアプローチメソッド例をご紹介させていただきます。
商品の現状分析、課題の発見〜○○構造分析
現代では、消費財のほとんどのカテゴリーが成熟期を迎えている。したがって市場における自社商品のポジションは常にベンチマークし、絶えずリフレッシュしていかないと陳腐化してしまう。
このため企業は市場における自社商品の状況やポジショニングを年1回、あるいは半年に1回定期的にチェックする必要がある。この調査がベンチマーク調査である。
この調査の基本的な目的は
@ 当該商品の購入率、購入量は変わっていないか(間口、奥行きのチェック)
A 当該商品のユーザー構成・構造は変わっていないか
B 当該商品の機能や価値は相対的に陳腐化していないのか
C ブランドイメージに変化はないか
D 強力な新製品によってブランドの位置づけは変わっていないか
E カテゴリーや競合関係に変化はないか
・・・・・・などマーケット状況の変化のキャッチアップである。
しばしば観察されるのは、マーケティング・リサーチを実施してみれば何らかの新しい発見があるのではないかという幻想である。しかしリサーチは目的を特定し、仮説を予め作成し実施することで初めて効果が出るものである。ある程度掲題の目的に合わせて、調査課題は事前に明確にしておく必要がある。
1) 間口、奥行き分析
まず自社の商品の購入率、購入量(購入頻度)の分析がスタートになる。
次に挙げたのは、購入率(間口)とユーザーの購入量(奥行き)の二元配置マップに自社商品の経年のデータをプロットしその面積を比較したものである。
《間口、奥行きのマトリックス》
新規エントリーした200A年には間口はかなり広がりが見られたが、200B年に至って間口は狭少傾向にある。ただ奥行きは拡がりリピートユーザーは増加、ロイヤルユ−ザーの形成には成功している様子。今後はリピーターを広げるための施策に注力していく必要が認められる。
2) ユーザー分析
間口、奥行き分析とともに重要なのはユーザー構成、構造分析である。当該商品のユーザーを購入量により、ヘビー、ミドル、ライト、ノンユーザーに分類し、それぞれのボリュームの変化・増減を確認する。
この場合、ユーザーの分割基準は常に固定し時系列の比較ができるようにしておく。またこれを集計の分析軸としていろいろな調査項目にクロスさせて、購入量の大小により購買行動、使用実態の違いや問題点を明らかにしていく。
購入量、使用頻度の大小によって、求めるベネフィットが異なることは意外とよくみられるケースである。
以下は入浴剤の例である。
《入浴剤の例》
一方ユーザーを購入量で分割するのではなく、現在ユーザー、ストッパー、ノンユーザーというように購入履歴で分類し、これを購入意向にクロスすることによって今後の需要ポテンシャルを推察することもできる。
このクロスさせた6ブロック(セル)の合計を合わせて100分比(%)にすることで、リピーター、再購入者、トライヤー、潜在ストッパーなどのボリューム(の変化)が明らかになる。
《需要ポテンシャルバランス表》
また対象者をデモグラフィックな、あるいはサイコグラフィックな要因で分類する解析手法として判別分析がある。二つのグループの差に関与していると推定される様々な変数を与えて、どの変数が寄与しているかを明らかにすることができる。
次回「3)ベネフィット構造分析」へ続く・・・・・。