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マーケティング・対比思考 第11回“インプット”と“アウトプット”

2011/07/06

タグ:梅津順江 インプット アウトプット

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
GI部 ディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

アウトプット力を養うと、インプットも変わってくる。

最近、調査の現場で、特に実感することである。

「クリアで分かりやすかった」「気づきが多かった」と思える調査案件は、事前にアウトプットをイメージしたり、多くの仮説を持って臨んだり、ができていることが多い。

具体的には、売れているブランドにはどんな価値があるかを予測したり、コモディディ化が進んだカテゴリーにも未充足領域はないかを思案したり、誰がどのように当該ブランドを使っているのかを詳細にイメージしたり、ユーザー(≒対象者)の価値観やCohort(コーホート)(*)を理解したり、などである。

(一方では、アウトプットイメージを持ちつつも、そのイメージに縛られず、違う結果も受け入れる柔軟さも忘れずに行うことも大切であることを付記しておく)


アウトプットを習慣づけることによる効用は、大きく2つあるのではないか、と考える。


1つ目が、≪awareness≫ 〜気付く力がつく
日常生活の中でも目的意識を持っていると、「これは●●の企画に使える」と常に情報を仕入れる姿勢が違ってくるし、調査中に対象者が聴取項目以外の話をした時でも、広く仮説を持っておくと、大事な発言を見逃さなくなる。

アウトプットが想起できていると、実査前の情報収集の内容やインタビュー時のプローブにも厚みが増してくるのである。また、このアウトプットとインプットの連続で、気付く力はますます強化できると思われる。


2つ目が、≪persuasion≫ 〜人に伝える力が身につく
多くの情報をまとめたり、自分の頭の中にあることを正しく伝えたり、は誰もが自然にしているとは思うが、対象者の雑談の中から、消費者の意識や本音を見出したり、ノンバーバルな態度や行動を言語で表現したり、することは思いのほか難しい。やはり、消費者心理や行動を見誤らないためにも、常にアウトプットを繰り返す練習をしておく必要がある。

アウトプットを続けることにより、考えを整理して表現する訓練につながるだけではなく、深い真意を読み取ることができるようになるのである。


上記の2つのために、私が実践していることがあるので、紹介させていただく。

≪awareness≫を養うためにしていることは、インタビューだけでなく、調査企画書の段階から携わるように心がけている。関われない時でも、「共感と疑問」の視点と問題意識を持ち、自分なりの仮説を立てることにしている。

≪persuasion≫の能力を強化するためには、人の行動や意識を観察することを日課としている。例えば、実査中は『タテマエで言っているのではないか』『その裏にはどんなホンネが潜んでいるか』という心構えで臨んでいる。また日常においても、通勤電車の中でキョロキョロと周りを見渡し「今日の車内風景」を140字以内でつぶやくことを習慣としている。

ある日のつぶやきを例として、挙げておく。

140文字.gif


脳学者の池谷裕二氏によると、「脳は"入力"より"出力"で覚える。勉強でも教科書を復唱するより問題を解くことの方が効果的。入力を繰り返すよりも出力を繰り返す方が、脳回路への情報の定着がよい」という。

要するに、何度も情報を入れ込む(学習する)よりも、事前に情報から多くの仮説を想起してみることで、情報は長時間安定して脳に保存することができるということなのである。

このことが、学生時代に分かっていれば、苦手な暗記学習を得意分野にすることもできただろうに・・と、悔やむ思いがよぎらなくもないが、これからの仕事や行動で実践していこうと、気持ちを新たにした。

※cohort:ある時点において年齢や性別などの共通の属性をもつ人口群をさす人口学上の用語