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リサーチトピックス 「次世代マーケティングリサーチを考える」

2011/07/06

タグ:次世代マーケティングリサーチ 牛堂雅文

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 ディレクター 牛堂雅文


「次世代マーケティングリサーチ」・
・・この春から、この言葉をよく聞くようになってきました。いや、オンラインで接することも多いので「目にする」といった方が正しいかもしれません。

元々海外からは色々な新しいマーケティングリサーチの情報が入ってきていました。

そして、昨年7月20日のある勉強会でトランスコスモス株式会社:萩原雅之氏に同テーマでご講演頂いたことがきっかけとなり、2011年3月に発行されたご著書「次世代マーケティングリサーチ」(ソフトバンククリエイティブ)の出版で一気に火がついたようです。

この勉強会の主催者の一人が私であったため、ご著書のP188に名前をあげて頂く光栄にあずかりました。この場を借りまして御礼申し上げます。

さて、そういった経緯もあり、個人的に次世代のマーケティングリサーチ手法、及び日本での先進的なプレイヤーに接することも多く、そこで感じたことを述べさせて頂きます。



 「次世代マーケティングリサーチ」とは?

ここで一旦整理しておきましょう。「次世代マーケティングリサーチ」とは、一つの手法ではなく、MROC(Marketing Research Online Community)や、ソーシャルメディア分析、バイオメトリクス(生体反応)調査など、様々なマーケティングリサーチ関連の新しい取り組みの総称です。

フィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」で例えるなら、「マーケティングリサーチ3.0」と言っても良い概念的な側面もあります。大まかに言うと、『いちいち調査票で尋ねる(Asking)だけではなく、消費者の中、データの海に飛び込んでじっくりと聴いてしまえ(Listenig)』…という話です。

詳しくは前述の萩原氏のご著書をご覧頂けますと幸いです。



「次世代マーケティングリサーチ」をどう捉えるか?

さて、ここからが私の意見となります。シンプルに言うと、「世の中がこれだけ変わっているのだからマーケティングリサーチも進化するのが自然」だということです。

今や我々は日常的にWebに接するようになりましたし、「トリプルメディア」といった言葉で代表されるようにプロモーションにもWeb・ソーシャルメディアが活用されています。TwitterなどのSNSを使う人も増えましたし、スマートフォンも普及しています。インターネット上、いやマーケティング関係者のPC画面にもデータがあふれかえっています。

そういった日常の中で、マーケティングリサーチにも新しい手法が生まれたわけであり、その昔「固定電話が普及して電話調査が現実的になった」ように、時代にあわせて新しいものが加わってきたと言えるかもしれません。



自然…といえば、実際にマーケティング課題に接したときに、気になったことをmixi、Twitter、ブログなどで調べて消費者の生の意見に接したことのある方が多いのではないでしょうか?既にこれはListeningの第一歩です。

「次世代マーケティングリサーチ」は、この延長線上にあるものと捉えています。
それゆえ、私は「次世代マーケティングリサーチ」の色々な手法を、「飛び道具」だとか、「革命」だとはあまり考えていません。「世の中も進化したし、それに応じて調査手法も増えた」という感覚です。


海外では、Communispace社、Brain Juicer社といった新興企業の台頭により、次世代マーケティングリサーチを意識せざるを得ない状況になっているものと思われます。しかし、日本では遅ればせながら我々のような伝統的なマーケティングリサーチ会社が新しい取り組みを行っており、パッと見の派手さがないのかもしれません。

いつの時代も「課題にあわせた調査企画のご提案」が我々にとって重要なことであり、そこに次世代リサーチが織り込まれていくというスタンスで捉えています。



また、クライアント企業サイドで考えますと、時代の変化の中で企業は「顧客の声に耳を傾け、素早く対応する」という姿勢が求められるようになってきています。企業アカウントでTwitterをされている場合は、特にこの点に留意されているものと思います。

この変化がマーケティングリサーチの分野にも起こりつつあるとお考え頂ければ、それほど突飛なものではないことがご理解頂けるのではないでしょうか。

逆に調査テーマによっては特に今までのリサーチ手法で問題がなく、次世代の手法が必要ないこともありますので、その場合従来通りの手法をご提案しています。

アンケート調査はアンケート調査の、座談会は座談会の良さがあります。実際、現時点ではそういった伝統的な調査が多数を占めています。



弊社での「次世代マーケティングリサーチ」への取り組み

さて、弊社の取り組みについて、どこまでこのメルマガで暴露していいのか悩ましいところですが、「できそうなもの」には大体手を出しています。「MROC」もそうですし、「ソーシャルメディアの分析」、「ショッパーインサイト理解の手法」、デバイス面では「iPadを使ったリサーチ」もそうです。
(前号のメルマガ参照:「iPadリサーチ」 http://blog.jma-net.jp/article/202231239.html


また弊社単独でできないことであれば、パートナー企業様と共同で開発していきますし、クライアント様がお持ちのリソースを活用させて頂けるなら可能性はより一層広がっていきます。

こう書くと節操もなく拡張し、よくお叱りを受ける『なんでもできます営業』をしているように見えるかもしれません。しかし、社会が、マーケティング課題が進化すれば、そこにあわせて変化するのが我々マーケティングリサーチ会社ですので、サービス内容が徐々に変化していくのも悪い話ではないと感じています。


最近は、
 ・海外の先進企業とWebミーティングをする
 ・パートナー企業様と共同で開発を進める
 ・ソーシャルメディアで意見交換をする
 ・同業他社の方と次世代マーケティングリサーチについて意見交換をする
…そういった光景を目にするようになってきました。(あくまで私の近くで…ですが)

これが弊社(日本の創業43年のマーケティングリサーチ会社)で起こっていることです。

次世代は「遠い未来」ではなく、過去、現在と地続きであり、徐々に浸透していくものだと考えると、あまり難しい話ではないのかもしれません。

現在、多くの家庭に「地デジ」「ワンセグ」対応機器が普及しているように、提供者側は見えない努力をするとしても、ユーザーからすると「関心を持っていたら、気がついたら次世代になっている」のではないでしょうか。そんなあっけらかんとした未来感を持っています。