Recent Entry
Archives
Back Number
Tag Cloud
検索
 

JMAマーケティングコラム 第4回「“エイジレスシニア(50代以上)”の攻略法」

2011/11/24

タグ:エイジレスシニア シニア 澁野 一彦

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦

「シニア」って誰のこと? 


「アラフォー」「美魔女」ブームから火がつき、それが引き続きさらなるエイジレスな50代以上世代に拡大し、また新たに「中高年」「シニア」がビジネスマーケットとして注目を浴びている。
ただこの中高年に向けたマーケティングは「シニア向けアプローチ」や「中高年マーケティング」と称し、その多くがうまく機能せず失敗した苦い経験を持つ。

今50代はもとより、60代に聞いてもそのほとんどは本心から自分を「シニア」だとは思っていない。メディアやマーケター(同世代の私自身も自分は棚に上げて)はこういった人達を「シニア・中高年」と呼んでいるが、ソモソモこの表現は彼等の本意ではない。

比較的若い層は「シニア」という言葉に対して55歳前後をイメージしているようだが、世間一般のこのシニアという世代に該当する年代の人たちは60歳以上をイメージしており、自分自身が世間的にシニアと思われているという自覚がない。

また60代にしても、「シニア」という言葉はもっと年を経った人のために存在すると考え、「アクティブシニア」と言ったら「あ〜、巣鴨にいる元気がいいおばあちゃんたちね」という位の意識である。

このような、世間と狙うべきターゲット層で大きな意識の乖離や、想像上の「シニア」あるいは「アクティブシニア」のイメージが先行しているため "イマのシニア層(特有)のニーズ"を捉えきれずにいるのが現状である。

〜「シニア」は実年齢より若いと思っているのではなく、「自分はシニアではない」ということ。〜



「シニア層」の実像へのアプローチ


では自分達を「シニア」と思っていない?シニア層へのアプローチはどうあるべきか。
消費市場はここ数年停滞気味であるが、その中で伸びている商品群や新たにカテゴリーを作った商品群がある。ビール市場が若者の離脱で苦戦する中、唯一プレミアルビールは1人気を吐き、国内の車の販売台数が減少する中で ハイブリッド車は依然好調である。

その他デジタル高級一眼レフカメラや高機能化粧品、高級エステサービスなどは 飽和状態といわれる日本の市場で確実に売上げを伸ばしている。
これらの商品やサービスに共通するのは、 "確かな品質"に裏打ちされた「高付加価値」の提供であり、この市場を支えているのが50代以上のいわゆる「シニア層」である。

この新たな市場を牽引している50代以上のシニア層とはどういった人達か?
シニア層を読み解く手がかりとして、彼らの日常の生活行動・意識から そのインサイトを鮮明化してみると、以下のような特性が浮かび上がる。


 (1)生活資本である時間とお金を自分に向けて投資しようとしている。
  →趣味、学習、旅行、グルメ・・・

 (2)常に社会的に啓発的な刺激を求めている
  →変化、チャレンジ・・・

 (3)家庭人でありながら、常に個人(オトコ、オンナ)としての自我を持ち続けている
  →いつまでも「男性」「女性」個人としての顔を持つ〜オトコを磨く、女を磨く・・・

 (4)夫婦や仲間とのコニュニケーションを大切にする。
  →血縁、姻戚よりも仲間同士のつながりを重視

 (5)時代への共感、行動としてのライフスタイルを重視する
  →大人世代は、3.11意向目覚めた。環境や福祉などの社会的テーマへの関心、関与。

 (6)商品の作り手(企業)の考え方、ストーリーに共感するセンスがある→表層的では満足しない

 (7)自分から積極的に情報接触している。(しようとしている。)
  →ソーシャルメディアだけでなく、ソシャル・イベント参加も含めて・・・

 そして
 (8)シニア層は 今(2度目の)ライフコース選択の岐路にある
  →世帯属性(子供同居、独立、夫婦のみ、単身・・・)、健康問題、家計的にも・・・


この世代が志向するのは、社会の舞台からゆるやかにフェイドアウトする道を歩むためではなく、第2の大人のライフスタイルの創造であり、新しい形での社会関与へのチャレンジである。



「シニア層」に求められるサービスとは


「シニア=50代以上」という大雑把な括りで彼らを捉えると、たいていの場合ニーズをつかみ切れず、マーケティングは行き詰ってしまう。
前述したように、そこにあるのは一括りにできない 多様なライフステージ属性を持ち、多様な価値観が交錯する巨大モザイクマーケットであり、我々はそのリアルな多様性にアプローチしていかなければならない。

 《シニアにとって求められるサービスの視点例》
  ・多様なニーズに個別に対応できるカスタマイズなサービス
  ・現在から未来にかけての時間を大切にする(できる)サービス
  ・社会との"繋がり"を実感、体験できるサービス
  ・自分の自我を解放できるサービス→ふむふむ、若干危険な匂いも………


このような観点で考えると、シニアのためのマーケティングも視界が開けてくるのではと思う。
一足先に世界に先駆けて高齢化社会に突入した日本。そこで上記のような志向を持つ「シニア」を満足させるマーケティングモデルを作り上げることは、(計らずも)高齢化社会のトップランナーとなる日本のマーケターの使命であると思う。

次回はこの"シニア層"の多様性に注目して彼らへのマーケティングの方法論について考察したい。