株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
「シニア男性攻略にヒント〜法華津選手の"意欲"と"不安"」というコラム記事が先日日経新聞(MJ)に掲載されていた。(以下は記事の抜粋の要約)
不本意な結果に終わった北京五輪から3か月後の法華津選手(当時68歳)へのインタビューで、ロンドン五輪出場を目指すのかという問いに対し、法華津選手は「もちろん、その時点で馬に乗れていれば目指す。でも4年は長い。自分にも馬にも何があるかわからない」と率直に応えたそうである。
だからこそ「元気なうちに楽しみたい」「体が自由に動くうちにしかできないことにお金を使いたい」というシニアの心理は十分理解できる。
実際に定年退職した後、65歳から支給される会社からの個人年金を 前倒してもらうように申請したと何人かのシニアの方から聞いた。シニア層も実は結構焦っているのである。
弊社で今5月初旬に、60歳以上の高齢者1000名(男性500人、女性500人)を対象に、「就労・生計状況と暮らし向き、ならびに生活・消費意識、買い物行動等」を把握する「シニアのライフスタイル調査」(WEB調査)を実施した。(「シニアのライフスタイル調査」についての詳細は次回以降当コラム等で随時紹介していきます)
「生活に余裕がある方」と答えた余裕者比率41%に対し、「余裕がない方」と答えた比率は58%にのぼり、余裕者比率を上回る。特にリタイヤして時間の自由度のある65歳〜75才の男性の前期高齢者で生活の逼迫度が高くなっている。
●現在に比べて来年(一年後)「生活が悪化する」と悲観するものが3割
ここでも来年の未来予測は「変わらない(60%)」が最も多いものの、変化を指摘する動きとしては「悪くなる」(31%)が、「良くなる(9%)」を上回り 不安を喚起するものが多い。
全体の2/3(66%)が現在「健康である」と言いながら、今後の健康状態については「不安を感じている」ものが6割弱(57%)に増加する。
国の政策(社会保障やしくみ)に対する不信感、自身の「日常生活機能(ADL)の衰退」を危惧する声も。
《現在の心配事、将来の不安》
・自分の健康・病気:72%
・配偶者や家族の健康・病気:57%
・年金 ・介護・医療等社会保障給付の水準:45%
・生活のための資金・収入:35%
・社会保障のしくみの崩壊:33%
・動作が鈍くなるなど日常生活が出来なくなる不安:26%
また社会への不安、家族構成、友人・知人達との関係、親の介護などの様々な環境変化の兆しにさらされ、不安を増幅する。そこに経済と孤立の不安が重なる現実がある。
このような"シニア層の憂鬱"を少しでも払拭できればそれは商機につながる。
前回の当コラムでは加齢による体力、知力の衰えのマイナスをケアするモノやサービス(商品やサービスの使い勝手の調整やアンチエージングケア商品)の可能性を取り上げたが、体力の衰えをケアするだけでなくもっと積極的に肉体の維持、強化を目指すシニア向けサービスも人気になっている。