株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 ディレクター 牛堂雅文
今回は説明だけでは中々理解しにくい、この「シェアハウス」に3ヶ月ほど居住した経験を題材に、「観察調査」と「参与観察」について考察することとします。
マーケティングリサーチでは「観察調査」といって、対象者の行動や家庭での生活の様子を垣間見る調査を実施する事があります。「エスノグラフィ」が注目され「観察調査」が脚光を浴びたのは、記憶に新しいのではないでしょうか。
(「参与観察」…研究対象となる社会に数週間〜数ヶ月にわたって滞在し、メンバーの一員となって行う調査。詳しくは「社会学のすゝめ第一回」を参照のこと。)
最初にシェアハウスに訪問した時を「観察調査」と位置づけることで、両者の比較を行いたいと思います。
まず、プレ調査的になりますが、このシェアハウスのWEBサイトを穴が空くほど見ている時期がありました。これを写真などを元にした、訪問しない「簡易エスノ調査」と位置づけます。
(※簡易エスノでは、対象者の持ち物など嗜好が分かる写真が加わりますので、もう少し情報量は多くなります。)
次の「観察調査」フェーズとして、最初の訪問(内覧)時に着目します。(これは管理人の方との面接にもなっていました。)
ここから今回の本題、入居後の話、「参与観察」フェーズとなります。
そもそも、朝と夜ではムードが全く違います。
朝食を食べる人が少ないので、朝の居間は閑散としていて、顔を合わせるメンバーも大体8名中3名くらいです。
3ヶ月をシェアハウスで過ごした今回の事例を元にして考えると、「参与観察」は「観察調査」に対して、情報量、背景、構造の把握といった点において圧倒的に有利であると感じました。
冷蔵庫の中の野菜や、居間のPS3、朝に弱そうな居住者の存在など、見過ごさなければ居住者像やこのコミュニティの特徴が掴めそうなヒントが散りばめられていました。
そして何より「観察調査」は「簡易エスノ」に比べ、現場に出向いた時点で情報量が大幅に増えており、色々なことに気づき始めています。