株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
| シニア層は、一般的にあっさりした味付けの食事を好むと思われており、家庭では健康に留意して魚や和食を心がけているが、外では中華や洋食を食べたいというシニアは意外と多い。(『日経レストラン』記事より) |
《シニアの外食利用メニューベスト10:日経レストランより》
前回取り上げた『肉食系老人のススメ』で書いたように、こと外食に関しては、意識している、いないに関わらず「たんぱく質系の栄養素の摂取」は実践されているようである。
この記事では "シニア層は薄味でヘルシーな食べ物を外食でも好む。→それは"偏見"に過ぎない" ということを教えてくれる。
シニア向けのヒット商品が生まれにくい背景には、前述したようなシニア世代に対する偏見・先入観がある。先入観に基づいてモノづくりをしているから購買欲をそそらない、ちぐはぐな商品が生まれる。
シニア層を視る場合、まず第一に我々が(世間が)作りあげた偏見・先入観を、一つずつ取り除くことから始めなければならない。
1)シニアマーケットを特別視しない
シニア市場は昔、20代、30代、40代と一般の消費市場を構成した人々が年を重ねた集合体である。
従って、シニア市場を特別な市場ととらえるのではなく、既存のマーケットがシニア化したと捉えた方がよい。
商品開発やサービスもシニアの非日常的な消費や高額品だけにフォーカスするのではなく、シニアの長期化する(充実させたい)日常的な生活に対応するという視点が必要である。
シニア商品といえば介護商品やケア商品をイメージするが、実は現在65歳以上の8割が、75歳以上でも5割の人が健康を維持した生活している。(厚生労働省:国民生活基礎調査より)
日常生活を行う上で不都合を感じていない"(高齢であるが)普通の健康な消費者"が大半を占めている。元気で普通の生活をしているシニアのための商品があまりにも少ない。
かつて70代と言えばいろいろ諦めなければならない年齢であったが、前述のように、今は体力もソコソコあり、経済的にもある程度余裕がある人が多い。またシニアだからといって、「欲望、欲求、意欲」は枯れる訳ではない。「年をとっても楽しい生活を維持したい」、また「年をとったからこそ楽しい生活をしたい」というシニアの意向、気持ちを応援する提案をする。
「シニア向け」のイメージは、実際のシニア層からは反発を持たれる。自身の認知年齢も実年齢より1〜2割は若い。また実際にシニア層を年寄り扱いをしたり、社会の弱者イメージを植え付けるようなアプローチはマイナスに影響する。常に人生の先達としてのシニアのプライドに配慮、リスペクトした対応を心掛ける。
定年になり会社をリタイヤしたからといって、決して社会からリタイヤするという訳ではない。また子育てが終了し、ライフステージは変化するが引き続き消費は継続し(世帯消費のダウンサイジング化などはあるが)、就労以外でも社会と関わっていく。あくまでも社会の現役としてシニア層と相たいすることが重要である。
外食産業が生まれたのは19世紀前半のフランス。ちょうど数多くの「食と人」に関わる『人間喜劇』を執筆したフランスの文学者バルザックが生きた時代だった。(『バルザックと19世紀パリの食卓』より)


