株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美
1)対象者のウォーミングアップ、テーマと異なる情報の収集
ウォーミングアップも兼ね、対象者が記入しやすい家族構成、職業など事実ベースのものから構成します。
購読雑誌、趣味などはテーマとは異なる情報であってもユーザー理解を進めるための役に立つこともあります。同じカテゴリーでも、使用ブランドによって、購読雑誌の傾向が違うなど、面白い結果が出ることも。
代表的なものは「年収」などお金に関わる質問です。
事前アンケートは実査が始まる前に回収しますので、テーマに関するバックグラウンドを把握した上で、インタビューに臨めることも事前アンケートの大きな役割の1つです。
また、実際のインタビューの中では、事実ベースのこと以上に「意識」や「呈示品に対する反応」に時間を割きたいこともあり、事前に記入してもらえれば事実を確認する時間を削減できることも大きなメリットです。
定性調査で意識を聴取する場合、グループインタビューでは周りからの影響もありますし、デプスインタビューでも、インタビュー順の影響を受けます。
実はそれほど気にしていなくても、周りが皆「健康のためにカロリーを気にしている」と言えば、そういえばカロリー気になるかも、となるでしょうし、健康の話をした後で食品や飲料の選び方を聞けば、商品選択基準に健康を意識した回答が挙がるかもしれません。
そういったバイアスがかかる前の純粋な意識を把握するためにも、事前のアンケートは活用しています。
対象者に「(事前)アンケートの記入お願いします」と言って、しばらくしてから記入する様子を確認すると「スマフォで調べている?」!!
さりげなく「覚えている範囲でいいですよ」と言っては見るのですが、「漢字がわからなくて」「商品名が思い出せなくて」と調べることに未練タラタラ。気づいたときは調べない方向に誘導しているのですが、事前の打ち合わせが延びたりして事前アンケート記入時に現場にいないことも多いので、そんなときは自由に調べられているのかもしれません。
調べないで事前アンケートを記入してほしい理由は、前述した事前アンケートの目的4)に由来します。
バイアスがかかる前に意識を知りたいので、こちらとしては「商品名が思い出せない、でも、何色のパッケージでこんなマークが付いていた、は思い出せる」といったことも貴重な情報となるのですが、調べた上で正確な商品名を記入されてしまうと、その貴重な情報がなくなってしまいます。むしろ、皆商品名をきちんと把握してくれている、と間違った認識を持ってしまう危険性もあります。この「調べるという行為の手軽化」スマートフォンが浸透するまでは見られない光景でした。さすがにパソコンを持ってきて、パソコンを広げだす人はいませんしね・・・
自分の行動を振り返っても、わからないとき、確かめたいときに「調べる」という行動を取る機会は格段に増えました。電化製品など少し金額が大きめの買い物をするときは、店頭で実際の商品を見ながら、スマフォでその商品情報を調べることも多々あります。


