株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
『君と歩く世界』というフランス映画を観た。
事故で両足を切断し、身体障害者となった女性と、頑強な肉体を持ちながらも暴力でしか自己表現できない社会不適合者(発達障害者?)の男性。この2人が出会って、不器用な恋をしながらお互いに欠けたものを埋めあい 再生への道を歩き始める物語。これが映画「君と歩く世界」のストーリーの骨子である。
そして何人かのレビュアーが書いているように、身体障害は誰にでもある"(肉体的)コンプレックス"のひとつの形に過ぎず、その根っこにある心の歪みは、とても普遍的なものであるということをこの映画では示してくれる。
*福祉サービス第三者評価:http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/hyoka/outline.htm
今日本には、身体障害者が366.3万人、知的障害者は、54.7万人、精神障害者は323.3万人で、3障害合わせて約744万人の障害認定の人がいる。(平成23年厚生労働省調査より)
また、「読み書きが苦手である」「人づきあいができない」「自閉症」などの症状を発症している発達障害者は、義務教育段階で70万人程度いると推定され、これは義務教育の全児童数の7%にあたる。
今春4月から障害者総合支援法*がスタートし、障害者の法定雇用率も企業は2%に引き上げられた。障害がある人を理解し、かれらの特性・個性を生かした企業経営がこれからは求められる。
(5月14日朝日新聞オピニオン:人間支援工学が専門の中邑賢龍東大教授のインタビュー記事より)
「人は同じでなくていいと理解し、偏っていても独創的で発想力のある職場を作ることがこれからの企業には不可欠です」
「『凹デザイン塾』もやっています。あえて不完全な凹の商品を作り、凹んだ部分を人間が補うことで人が気づきを考えるという新発想の商品開発です。人もモノもデコボコであることを大切にしたい。中略・・。
尖った部分を削り、凹んだ部分を埋める教育やモノづくりは 人やモノを均一化し、社会を効率化をする上で重要でした。日本がそこから脱却し、新しいモノ作り・教育に変えられるかどうか。誰もが生きやすい未来にとって、今が重要な時期だと思います」。
「欠けた部分がある人は、幸運なんです、欠けている分尖がっているから。当たり前の生活をしてきた普通の人って常識に縛られて、なかなか尖がれないでしょう。障害はアイデンティティなんです。」
欠けた部分をテクノロジーで補えば、尖がった部分、個性は残る。障害を個性、アイデンティティとして認め、足りないものがあれば、持っているものがサポートする。そういうことが "淡々と普通にできる"社会・企業、そして人の関わりが今望まれている。


