株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
今4月の日経MJに 「極端サイズに商機」というタイトルの興味深い記事が掲載されていた。
| 衣料品で極小・極大のイレギュラーサイズを品揃えする企業が増えている。S、M、Lといった 一般店舗で取り揃えているボリュームサイズが合わず(いつも)不満を持っている消費者がターゲットで、わずか1%の体格の人向けに品揃えする企業もある。ニッチな市場で固定客をがっちりつかむ工夫は異業種にとってもヒントになりそうだ。(記事より抜粋) |
殆どの百貨店やアパレル店舗は効率重視で、市場小さい小サイズの売り場や商品を縮小する流れにある。
西武百貨店はその逆で、同売り場は色、柄も普通サイズ(S、M、L)と同じ品ぞろえで展開し、小サイズ独自の商品も作る。昨秋以降、傘下の18店で同コーナーを拡充。売上高は平均35%増えたという。(同記事より)
伊勢丹新宿本店は今年大型改装し、売り上げが前年比10〜20%増加と順調に伸びているが、特に好調だったのがこの「クローバーショップ」で、こちらも同店の全体平均を大きく上回り3割近く伸びたそうだ。
改装前は「悩みの解決に主眼を置き、体系をカバーする商品を中心に提案していた」。今回の改装で目指したのは「純粋に買い物を楽しめる空間づくり」(伊勢丹バイヤー談)。
13号以上を所望する女性客は各店舗の商圏に1%程度という。
同売り場を年50回以上訪れる上得意客もいるとのことである。
服探しに悩みを持つ(ちょっと太め)の女性の心をうまく掴んでいるようである。
企業にとって多品種の個別対応は大きなコストが発生するため、非効率でなかなか実行できない。ただ逆に言えば、高いリスクだからこそどの企業も手をださないブルーオーシャンの市場であるともいえる。
またレギュラーサイズの範疇に入らない顧客からすれば 自分の欲求を満たせないため潜在的不満が大きく、未充足の市場でもある。
「あのお店には私のサイズが置いてある」という評判が広まれば、1〜5%のイレギュラーサイズを欲する顧客はまず離れることはない。
このような極端サイズへの対応は、マス市場から取り残された"不満顧客"への個別対応/カスタマイズ化のヒントとなる。
これも「ニッチな市場」で固定客を掴んだ成功例である。
同店が目指すのは「世界のファッションストア」であるが、改装の裏テーマは「サイズ対応だった」と明かす。「クローバーショップ」の売り上げは婦人服・雑貨全体の3%程度だが、他の婦人服売り場も大きなサイズの売り場を充実させ、「おしゃれをしたい大柄な女性が諦めなくてもいいようにしたい」とのこと。
さすが「固定客(上客)を大事にする 選ばれる百貨店、伊勢丹」の面目躍如である。


