株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦
高齢者の退職時期が徐々に遅くなり、分散化してきている。
一般企業では、60才で一旦定年退職するものの、再雇用されて給料は半分程度に下がるが、同じ職場で(65才前後まで)働き続けるというスタイルが一般化した。
団塊世代(63〜66才)に限定すると退職率も5割(就労率52%)を切り、2人に1人がまだ働いている。
(図表1)
そんな中、彼らの生活意識の中に節約・倹約志向が生まれてきていることは容易に想像でき、それぞれの事情(経済的不安も含め)や意向、またリタイヤ時期によって消費行動もますます多様化してきている。
◆生活に「余裕はないが、満足」というシニアが増加傾向〜ほどほどに生きていく
「シニアライフ・センサス2013」から、シニア・高齢者層の生活意識、経済状況(意識)の変化を確認する。
《シニア・高齢者層の生活意識(暮らし向き)について》
『生活の満足度(60才以上計)』は、2013年は76%が「満足」と回答、昨年(71%)に比べ若干増加。
一方、『経済的な余裕(60才以上計)』に関しては、61%が「余裕がない」と答えており、こちらは昨年(59%)とほとんど変わらず、「全く余裕がない」というトップボックスは、僅かではあるが増えている。
「シニアライフ・センサス2013」から、シニア・高齢者層の生活意識、経済状況(意識)の変化を確認する。
『生活の満足度(60才以上計)』は、2013年は76%が「満足」と回答、昨年(71%)に比べ若干増加。
一方、『経済的な余裕(60才以上計)』に関しては、61%が「余裕がない」と答えており、こちらは昨年(59%)とほとんど変わらず、「全く余裕がない」というトップボックスは、僅かではあるが増えている。
(図表2)

この生活意識(暮らし向き)に関する2つの指標を重ねてみると、「余裕があり満足」(今年38%←昨年39%)、「余裕はないが満足」(37%←31%)、「余裕がなく不満」(23%←27%)と3分割。昨年に比べ、余裕はないが、与えられた環境に折り合う現状肯定派が増加している。
昨年同様、暮らし向きは3層に分かれ、生活(意識)格差は変わらず顕在。
(図表3)
自身の経済状況と社会認識に照らし合わせながら、それぞれの消費行動を工夫しているシニア・高齢者の姿が目に浮かぶ。
「シニアライフ・センサス2013」では、昨年に引き続き、シニア・高齢者の『日常の買い物行動についての考え方・行動』を聞いている。
『日常の買い物に対する考え方』の上位を見ると、 「品質、価格を比較して商品を買う」「買い物へは 自分のバッグを持っていく」「見た目よりも使いやすさを重視する」「店のポイントカードをよく利用する」など・・・・・。
昨年に比べても、上位項目は同意率が上昇している。
また、「非常に当てはまる」というトップボックスの数値をみると、「買い物へは自分のバッグを持っていく」が30%と最も高く 「エシカルな購買行動」も、シニア・高齢層でも習慣化してきたことを窺わせる。
(図表4)
ここではシニア・高齢層の『情報収集源』」をまとめた。注)今回の対象者はWEBモニターであることを考慮。「テレビ」「インターネット」「新聞」が情報源の上位に挙がるが、「テレビ」は属性による偏りがなく、幅が広い。
また《女性》では、若い層で「商品サンプリング・試供品」を、高齢層では「通販カタログ」の利用が特徴的である。
(図表5)

シニア・高齢者の『普段の趣味や楽しみ』では、「旅行」「テレビ」「散歩・ウォーキング」とともに、「親しい友人・同じ趣味の人との交際」「家族との団欒」が上位に入っており(特に女性)、"繋がり"を中心にした趣味活動が活発に行われていることがわかる。(「シニアライフ・センサス2013」参照)
これらを見ると、今のシニア・高齢者は、過度にマネーに依存することなく、ネットのクチコミサイトやネットワーク資源(家族、友人・知人、仲間)の情報を上手に利用し、『絆』消費を先行、楽しんでいる様子が想像できる。
次回から、シニア・高齢者の消費(の多様化)の実態を 世帯タイプ、また「団塊世代」前後(「プレ団塊」、「団塊」「ポスト団塊」)などの"年代とは異なる切り方"で考察していく。