株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
取締役フェロー 澁野 一彦
前回のメルマガで取り上げた 怪しい「独居老人」達の激しい生きざまとうって変わって、老いの豊かさと哀しみを、なんとも瑞々しくのびやかに詠う。 95歳の歌人 宮英子さんの句である。
老い患ひ 恋ひわづらひに似て非なり なつかしよ過ぎし人を思ふは |
戦後を代表する歌人であり、夫で歌の師であった宮柊二(しゅうじ)氏が逝って27年になる。後を継いで発行人を務める短歌誌「コスモス」は60周年を迎えた。(朝日新聞「ひと」欄)
高齢の我儘なれど許されよ。見たい行きたい。見ようよ、行かう |
かつては80歳代頃でもシルクロードやアジア各国を、また娘さんの住むフランスにも毎年行かれて、更なる豊かな感性を磨いたそうだ。「古物商の青銀色(あをみづがね)のガラス瓶なみだ壺とぞシリアを旅して」はそんな得がたい旅のひとこま。歌集のタイトル「青銀色」は、シリアで買ったローマングラスのこの小さな壺(つぼ)の色。青でも銀でもない「あをみづがね」と名付けた。
昨年12月弊社で行った【シニアライフに関する定性調査】でもそうだったが、単身女性の高齢者(特に年代が高い女性)は、家族同居世帯に比べて活動的で逞しい人が多い。
許されて九十余年をあるがまま 生きながらへて現在晩年 |
100歳以上の方も現在全国で5万人を超える。
進行中の「老い」をネガティブにとらえるのではなく、ちゃんと受け入れることで、これからの時間を明るく豊かなものにする。90歳からの時間を これほど充実させて生きていけることは本当に羨ましい。まさに「プア充」ならぬ「さとり充」の"老い"である。
健康でないとなかなか難しいが、いつまでも英子さんのような瑞瑞しい感性とパワフルな生命力を持ちたいとつくづく思う。
迂闊(うかつ)にも長く生きしは我が器量ならず 日々が連続偶然めいて |
自身の心境に近いイメージです。今後も、メルマガで当コラム(JMAマーケティングコラム)は続けて参ります。
JMA、並びに当メルマガを引き続きご愛顧の程よろしくお願い申しあげます。
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