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テキストマイニングの小部屋 第9回「『○○妻』 VS 『残念な夫。』」

2015/02/13

タグ:梶山賢一 ○○妻 残念な夫。 テキストマイニング

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 アシスタント・ディレクター 梶山賢一

突然だが、みなさんはテレビドラマはご覧になるだろうか。
私自身はあまり見ない方だが、それでも、《朝ドラの「マッサン」は好調、一方、大河ドラマ「花燃ゆ」は苦戦中、民放では「相棒」が今クールも高い視聴率を維持・・・》など、ドラマそのものは見ていなくても、やはりなんとなく気にはしている。

今年1月から始まったドラマの中で注目を集めたものの1つが『〇〇(まるまる)妻(日テレ系)『残念な夫。(フジテレビ系)。両者とも水曜22時の枠であり、タイトルも『妻』と『夫』と好対照だ。加えて、『〇〇(まるまる)妻』は、かつて記録的な視聴率をたたき出した『家政婦のミタ』と同じ脚本家が手掛けるなどの話題もあった。
そこで今回は、『妻』と『夫』、この2つのドラマのツイッターを分析してみよう。

■分析対象:「〇〇妻」or「まるまる妻」or「残念な夫」という単語を含むツイッター。
        ただし、「RT」「bot」「宣伝目的のツイート」は除外した
■対象期間:2015/1/14〜2/5
■対象件数:30,681件
■分析ソフト:株式会社プラスアルファコンサルティング『見える化エンジン』

 ◆ドラマ基本情報:
【放送時間】:初回は2015/1/14(水)。以降、毎週水曜日22時から放送され、2月4日に第4回が放送された。

【ストーリー】:
「〇〇妻」…
「主人公のひかり(柴咲コウ)は、生活のすべてを夫・久保田正純(東山紀之)のために捧げる理想の妻。だが、夫に人生を捧げて尽くす妻には、ある秘密があった・・・」

「残念な夫」…
「榛野陽一(玉木宏)と知里(倉科カナ)夫婦は、温かくて明るい、誰もが思い描くような"理想の家庭"を夢見て結婚。しかし、その夢は知里の出産を期に変化しようとしていた。」
※各HPから抜粋


≪考察インデックス≫
 1.『〇〇妻』は「ハマる」。『残念な夫。』は「共感される」
 2.「ドキドキハラハラのストーリー展開」と「身近で"あるある"ネタがつまったドラマ」
 3.視聴率は『○○妻』が圧勝も、ツイート数では『残念な夫。』が逆転


●『〇〇妻』は「ハマる」、『残念な夫。』は「共感される」

まず、2つのドラマがなんと言われているのかザックリ見てみよう。
図1−1は『〇〇妻』、図1−2は『残念な夫。』のツイートに含まれる形容詞または動詞の上位50個を表したものだ。この図はワードクラウドといい、ここでは件数に比例して単語を大きく表示している。また、ポジティブな単語は赤、ネガティブな単語は青にした。

図1−1 『〇〇妻』のワードクラウド
『〇〇妻』のワードクラウド.jpg


図1−2 『残念な夫。』のワードクラウド
『残念な夫。』のワードクラウド.jpg

両者とも「面白い」という単語は共通して出ている。違いとしては、『〇〇妻』の方は、「気になる」「ハマる」「どうなる」「こわい」「不思議だ」などの単語が見られ、物語にどっぷりつかっている様子が感じられる。一方『残念な夫。』の方は、「(出演者が)可愛い」「格好いい」などタレントへの評価の他、「共感する」「分かる」など、内容への共感が見られる。


●『〇〇妻』は話の展開に興味を持たれ、『残念な夫。』は出演者やテーマに関心を持たれている

今度はもう少し細かく話題を見ていくため、マッピングを見ていこう。
図2−1は『○○妻』、図2−2は『残念な夫。』の投稿文章をマップにしたものである。このマップは単語の位置に意味はなく、単語のつながりを見て意味を読み取っていくものだ。

※青い円の単語は頻出単語(上位40位)。緑の円は青い円の単語の係り受け単語。
  青い円の単語同士で共起度が高い(=同時出現の割合が多い)ものが灰色の矢印で結ばれ、自動的に単語の島ができる。
※ピンク色の破線円とボックスは筆者がマップに追加したもの。

図2−1 『〇〇妻』の全体マップ
『〇〇妻』の全体マップ.gif

図2−2 『残念な夫。』の全体マップ
『残念な夫。』の全体マップ.gif


 図2−1から、「面白い/こわい」「展開が気になる」など内容やストーリー展開の話題がよく挙がっているのがわかる。「よくわからない」という言葉もあるが、全体としてポジティブな評価が多い。柴咲コウや東山紀之への記述もありこちらも好意的だ。

 図2−2からは、玉木宏、生田絵梨花、倉科カナなど、出演者へ興味関心が目につく。その他、「ほんとに残念だ」と、玉木宏の残念な夫ぶりが伝わっている様子もある。そこから「うちの夫も・・・」と、自らの家庭生活を引き合いに出しているのが面白い。ドラマ内容と実生活との距離感の近さが共感を生んでいるようだ。


●視聴率では『○○妻』が圧勝だが、ツイート数では逆転

最後に時系列推移を確認しておこう。図3は期間中(1/14〜2/5)の投稿数と視聴率推移のグラフである。

図3 投稿数と視聴率の時系列推移
○○妻、残念な夫、投稿数と視聴率の時系列推移.gif

 視聴率を見ると、『〇〇妻』と『残念な夫。』の4話平均視聴率がそれぞれ14.6%、8.1%と差が開いている。また、『残念な夫。』は微減傾向があるが『〇〇妻』は維持もしくは微増している。

 一方、投稿数を見ると両者は逆転している。期間初期に『残念な夫。』のデータ取得がうまくいかなかったが、それ以外の期間では一貫して『残念な夫。』の投稿数が『〇〇妻』を上回っている。『〇〇妻』は放映日にピークが来て、それ以降はきれいに減衰しているが、『残念な夫。』は放映日の翌日以降に最大もしくは極大を迎えることもある。

 視聴率と投稿件数が必ずしも比例しないのは予想されることだが、ここまで開きがあるのは驚きだ。『〇〇妻』のデータ取得がうまくいかなかった可能性もあるのだが、ツイートしたくなるのは『残念な夫。』の方なのかもしれない(繰り返しになるが、「RT」「bot」「宣伝目的のツイート」は除外している)。SNSが視聴率にある程度の影響力を持つと仮定すると、『残念な夫。』の視聴率が急減することはなく、むしろ上がっていく可能性もある。


●まとめ

 視聴率では今のところ『○○妻』の圧勝といえるが、ツイート数では『残念な夫。』の方が上回っていることがわかった。

『〇〇妻』の方は検索文字に「〇〇」という記号を含んでいるためデータ取得の失敗の可能性も排除できないのだが、それでも、『○○妻』のツイート数が放送日をピークにしているのに対し、『残念な夫。』は放送翌日も多数ツイートされており、ついツイートしたくなるようなドラマ内容であるようだ。それは、ワードクラウドやマッピングに表れていた「共感」「分かる」などの単語も裏付けているように思われる。

 ドラマはまだ4回の放送を終えたばかりでこれから中盤に向かっていく。2つのドラマの運命やいかに、といったところだが、今回の分析を見て、筆者は2つのドラマの視聴率の差が縮まっていくのでは、と予想している。実はツイート数とツイート内容からの視聴率予想をたくらんでいたのだが、今回それはできなかった。今後ぜひトライしてみたい。