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マーケティング・対比思考 第50回"斬り込むインタビュー"と"引き出すインタビュー"

2015/04/22

タグ:斬り込む 引き出す インタビュー 梅津 順江

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

後輩にファシリテーターやインタビュアー を目指している聡明で面白い女性がいます。
身長が174pあり、声のトーンも低めで女性にしておくのがもったいないくらいのカッコイイ方です。サバサバと竹を割ったような性格とやさしさを併せ持っているため、友達も多いようです。仕事にも意欲的で、かつユーモラスがあり、常に公平なので、一緒に仕事をしていても気持ちのよさを感じます。

彼女は、独特のはっきりとした分かりやすいしゃべり口で相手に斬り込んでいくインタビューをします。女性でこの手のインタビューをするケースはとても貴重です。まだファシリテーターや インタビュアーとしては新人ですが、 的を射たシャープな投げかけをするので、バックルームで聞いていても、とても分かりやすいです。

永江朗氏の「インタビュー術」の中で紹介されている、『斬り込んでいく田原総一朗と引き出す黒柳徹子』の例を思い出しましたので、一部紹介します。


『田原総一朗の場合は、相手から言葉を引き出すために、ときには挑発的な質問をずけずけと投げかける。「あなたはこういいましたね」「あなたはこうしましたね」「なぜですか」「あなたがやったことに対して、こういっている人がいますよ」と畳みかけるように、追いつめるように、質問を投げかけていく。

曖昧な答えは許さないため、旗色が鮮明になる。黒柳徹子の場合は、終始にこやかに、上品に、ゲストも楽しく時間を過ごし、視聴者はそれを覗き見るというスタイルにこだわる。

事前にゲストのことを調べていて、「なんでもあなたは××なんですって」ときっかけを出す。事前に調べてよく知っていることにも、まるではじめて聞いたことのように驚いてみせ、声を出して笑い、涙ぐむ。ゲストは黒柳の反応に自分の言葉が受け止められていると安心し、視聴者は黒柳の反応に共鳴していく。』


女性のインタビュアーがお手本にしたいのは黒柳徹子タイプではないかと思われますし、筆者の知るインタビュアーの大半が、引き出し型です。自分の場合も、グループ・インタビューやデプス・インタビューでは、引き出すインタビューを心がけています。

しかし、ワークショップにおいては、強く斬り込んでいくファシリテーションを意識します。たとえば、ワークショップでは、「ゴールイメージから外れていますよ」「もう少し、違った視点からもみてください」と思考の補正や転換を行なったり、「他のグループではこういう視点もありましたよ」「この部分は普通すぎるのでジャンプして考えてください」と刺激をあたえたりするイメージです。

先述した後輩の話に戻りますが、彼女が黒柳徹子風な引き出すインタビューをすると不自然に感じます。それは、彼女のキャラクターとは異なっているからです。

もちろん、田原総一朗の討論番組の例は極端だと思いますが、彼女には個性を生かした、斬り込んでいくファシリテーションやインタビュー を目指してほしい、ファシリテーターや インタビュアーに向いていないなどと諦めずに彼女にしかできないスタイルを確立してほしいと、先輩である筆者はひそかに願っています。