Recent Entry
Archives
Back Number
Tag Cloud
検索
 

JMAマーケティングコラム 第40回「『団塊男子』再び蠢く(うごめく)」

2015/04/22

タグ:澁野 一彦 団塊世代

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
取締役フェロー 澁野 一彦

◆団塊世代のリタイヤ事情〜一律でない退職時期

団塊世代の先頭集団(1946年生まれ)が60歳を超えた2007年から大量の団塊世代が退職し、日本の労働力不足が起きると懸念された。

しかし実際は、多くの企業が、基礎年金の支給開始年齢である65歳までを目途に雇用を継続、団塊男子の多くは60歳以降も働き続けた。そして、あれから8年を経て、今年(2015年)は団塊の最後の年代(1950年生まれ)が65歳に達し、本格的なリタイヤ時期を迎えている。

下記は、昨年実施した弊社自主企画「シニアライフ・センサス2014」からの世代別の就労率のデータである。
これを見ると、65歳をまたぐ団塊世代の男性の約半数(51%)はまだ就労している。
また注目できるのは、ここ数年少しずつではあるが、高齢者(60歳以上)全体の就労率が増加傾向にあり、リタイヤ時期が延長、分散化していることがわかる。

【図1:世代別の就労率】
図1:世代別の就労率.gif
※『JMAシニアライフ・センサス2014』より

2007年以降、60歳で一旦定年退職するものの、再雇用されて給料は半額程度に下がるが、同じ職場で働き続けるというスタイルが一般化した。

こうした就労スタイルは退職モラトリアム期間(60歳〜完全退職まで)となり、このモラトリアム期間にある団塊男子は、「資格取得の勉強を始める」「新しく趣味を始める」、また「昔やっていた音楽を再開する」(『JMAシニアライフ・センサス2014』より)など、リタイヤ後の生活の為の準備期間として活用しているようだ。

10年前の弊社調査では、退職を機に「家のリフォーム」や「車の買い替え」「パソコンの購入」など大型消費の意向が多くみられたが、現在はこのような高額消費も減少傾向にある。

これは退職と言う一大ライフイベントの時期が分散化し、相対的な位置づけが下がることで、過去大きな塊で市場を作り出してきたリタイヤシニアの消費行動が、ますます多様化していることを示している。

【図2:年代別の収入の変化】
 図2:年代別の収入の変化.gif
※『JMAシニアライフ・センサス2014』より

また実収入に関しても、60代前半は、給与とともに企業の厚生年金も少しずつ支給され、ダブルインカムになり、働き続けている人にとっては、経済的な面でもリタイヤ生活への助走期間となっている。(図2参照)


◆「妻に迷惑をかけたくない」〜家事を分担し始める団塊男子

では本格的にリタイヤした団塊男子は、どのような生活を送っているのだろうか?
かつて、定年でリタイヤした後の夫は、趣味も仲間も無く「ワシも族(妻の外出先に、やる事がない夫が「わしも」とついて行く)」「ぬれ落ち葉(一日中家にいて朽ちていく様)」と揶揄されたが、こと「団塊男子」については少し様相が違うようだ。


〜産経新聞記事より抜粋

東京ガスが首都圏を中心に展開する料理教室「男だけの厨房」には、リタイヤした団塊男子や、現在退職モラトリアム期間(就労している)あるポスト団塊の男子が目立つ。

元メーカー勤務の男性(66歳)は、現役時代は、家事は妻任せ。料理学校の受講の動機を「妻の足手まといになりたくない。それに、僕の方が長生きするかもしれない」と明かす。今では週2、3回、肉じゃがなどを作って、パートに行っている妻の帰りを待つ。

昨年実施した弊社のシニア対象のインタビュー調査でもリタイヤ後、家事を分担している団塊男子が見られた。



「私も料理学校に通っている。昼食くらいは自分でできるようにならないと」(団塊団性)

「妻が出かけたとき、自分の食事くらいは用意できるようになりたい」(ポスト団塊男性)

「お酒やつまみなどの買い物は、好みがあるので自分で買うようになった」(団塊男性)



団塊男子はリタイヤ後についても、家庭での「自立した生活」に向けて"涙ぐましい努力"をしているのである。

恋愛結婚が見合い結婚を上回ったのは「団塊世代」から。(図3参照)
大学のサークルやダンパ(ダンスパーティ)などで出会い、ゴールイン。男女平等の意識が芽生え、「友達夫婦」のはしりも団塊世代である。

しかし、結婚してからは、夫は企業戦士、妻は専業主婦として長く役割分担をし、家事や子育ての家庭生活はすべて妻任せでやってきた。そんな団塊男子だからこそ、家庭を顧みなかった今までの埋め合わせとして、リタイヤ後には家事を分担という意識が働いているのかもしれない。
【図3】
 図3:恋愛結婚・見合い結婚の構成比.jpg
※初婚同士の夫婦について:ガベージニュースより

1946年から1950年に生まれた団塊世代の全員が、今年で65歳以上の前期高齢者になる。
団塊の女性は専業主婦が多く、長年の知縁・地縁を活かし幅広いネットワークで趣味や旅行など生活をエンジョイしているが、会社生活が長かった団塊の男性は、リタイヤ後の自身の生き方、役割を、新たな環境で再構築しなければならない。

かつて若者文化を創造した団塊男子、シニアになって(また今後独り身になる可能性もある)、「(家庭生活でも)どう自立していくのか」問われている。
次回は、再び「自由時間」を手にしたリタイヤ後の団塊男子の行動・生活力について、考察していきたい。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。