Recent Entry
Archives
Back Number
Tag Cloud
検索
 

JMAマーケティングコラム 第41回「『団塊男子』のリタイヤ事情とリ・チャレンジ」

2015/05/28

タグ:澁野 一彦 リタイヤ 団塊男子 シニアマーケティング

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
取締役フェロー 澁野 一彦

◆『団塊男子』のリタイヤへの道〜転機にタイムラグがある

今まではシニアというと『人生の下り坂』という感覚で語られることが多く、特に男性は社会でも家庭でも脇役(「ワシも族」、「ぬれ落ち葉」と揶揄され)の存在であった。しかし、今の団塊世代を中心としたシニアの男性は、高齢になっても働き続ける人が多く、またリタイヤ後もボランティアや地域活動等に携わるなど『社会で活動する』ことに関しては現役で居続ける人が多い。

かつて高度経済成長期を牽引した『団塊男子』も65歳を超え、全員が前期高齢者の仲間入りをし、今まさに生活の転換期を迎えている。しかし、65歳になったからと言ってすべての『団塊男子』が一斉に転機を迎えるわけではなく、各生活資源の変化の時期によってタイムラグがあるのが実態である。

《変化の個体差の要因》
 ・健康資源の低下⇒性別、個体差、病気(生活習慣病等)の罹患・・・・
 ・経済資源の差異⇒リタイヤ時期、所得格差、貯蓄額、年金・・・
 ・家族資源の変化⇒ライフステージ変化(子供独立、夫婦2人世帯、単身世帯の増加・・・・・・)
 ・時間資源・・・・・
シニアの転機時期のタイムラグ.gif
   上記は、シニアを語る上で主要な生活資源から視た、転機のタイミング。転機は資源によって分散傾向。
健康資源、経済資源、家族資源、ネットワーク資源等それぞれに個体差があるのがシニアの特性。
また男女でも転機のタイミングにはタイムラグがある。


◆リタイヤ後、社会活動に目覚める『団塊男子』

今まで、シニアの消費マーケットは、女性が主に担ってきた。かつての韓流ブームの起源になったドラマ「冬のソナタ」の起点になったのもその当時50〜60代女性。そこから若い層に広がった。また、全国的にチェーン展開しているフィットネスクラブ「カーブス」の成功など、シニアビジネスは、女性向けがほとんどで、シニア男性はどうにも存在感が薄い。

50代で子育てを終え、実質的な“定年”を迎える女性に比べ、男性の定年はほぼ10年遅れでやってくる。男性が定年を迎える頃には、女性はすでに居住地域で生活基盤を作り、(ママ友等により)幅広いネットワークを駆使し、生活をエンジョイしている。シニア女性のこの幅広い交友(交遊)は、「つながり」「場」「コト」を喚起し、さまざまな消費マーケットを刺激する。

では、今まさに定年を迎えた『団塊男子』はどうなのだろうか?
弊社の調査(「JMAシニアライフ・センサス2014」)では、男女とも65歳を超えると、概して生き方に前向きで(地域での)社会関与が強くなるという傾向が見られた。
下記は、「生活意識・考え方」についての19項目で規定したコレスポンデンス分析のマップである。

高齢者男女の生活意識.gif
 ※『JMAシニアライフ・センサス2014』より

このマップでは、「人と話すことが好き」「週1回以上参加するサークル、会がある」「ファッションやおしゃれに気を使っている」などで規定される【社交性(右上)】の象限にシニアの女性グループがプロットされ、その中心に『団塊女性』が位置づけられる。前述の話を裏付けるように、シニア女性はコミュニケーション能力が高く(経験が豊富)社交的。その中心にいる『団塊女子』が、消費をリードしているのも納得できる。

一方男性はというと、対極の「今まで自分がしてきた経験を社会に還元させたい」「社会や時代の変化に関心がある」などで規定された【社会性(左下)】象限に、各年代の男性がプロットされ、こちらも『団塊男性』が牽引。ただ女性と違って、男性は退職を機に新たな繋がりをスタートさせるため、活動する「場」や準備のための猶予期間が必要となり、リタイヤしていきなりフル回転という訳にはいかない。
※男女とも『団塊世代』が、志向は異なるがシニアの活動・行動を牽引している点は注目できる。


◆65歳から始めるリ・チャレンジ

前述のマップの『団塊男子』の社会化志向を証明するデータがある。弊社同シニア調査では、「最近1〜2年で新しく始めた活動」を訊いている。これは自由記入で収集した。
最近1、2年で新しく始めたこと.gif

シニア世代になって新たな活動を始めた者は、全体で1/4程度であったが、男性では『団塊男子』を含む65歳〜74歳が新しいチャレンジに積極的で最も活動的。その内容も、64歳以下では「趣味・音楽」が多いが、65歳になると「地域活動・ボランティア」に目覚め、そのために必要な資格取得の勉強を始める者もいる。

私の周りでも、リタイヤした後、社会福祉士の資格取得に向けて通信教育を受講し、介護支援事業に参加する職場の団塊OBや、地元の子育て支援のNPOで研修を受け保育士の資格を取り、週5日、地元の家庭を訪問してこどもの世話をしている大学の先輩がいる。彼は「自分もそうだったが、いかに父親が育児に関わらず、母親に負担がかっているかがよくわかった。今まで家庭を顧みなかった我々世代が子世代に代わって“孫育て”をすることは意味がある。これからどんどん仲間に勧めたい」と話している。

『団塊男子』の社会参加・活躍の場はさまざまであるが、現役世代の就業を困難にしている介護や育児支援(業務)を、元気なシニア層が代替することは、女性や若い世代の就業環境の改善に役に立つ。

内閣府の2012年の調査で、団塊世代に「何歳まで働きたいか」を聞くと「働けるうちはいつまでも」が25%で最多。7割近くが今後も働く意欲があった。働けば筋力もつき、人とつながりもでき、元気でいられる期間が延びる。『団塊男子』は企業人・職業人として培ってきた技術・経験がある。少々体が動かなくても、できる範囲で働いて、そして消費して、経済を活性化させて若い人たちの仕事を作る。
こんな社会貢献ができる『団塊男子』はまさに“男前のカッコイイ存在”である。
続く


■参考資料
・「JMAシニアライフ・センサス2014」報告書
・JMA第3回シニアセミナー:「つながりがシニアの消費を産む」学習院大学 乳井瑞代先生
・産経新聞コラム「団塊男子 青春再び」

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。