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ワークショップ事始め 第2回「グランドルールの策定」

2015/06/25

タグ:ワークショップ 梅津 順江 グランドルール

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

グランドルール(Ground Rules)とは、会議、ミーティングなどを行う際に設定するルールや方針のことで、会議やワークをスムーズに進行するために、ファシリテーターが事前に設定する場合や、ある程度大枠を定め、参加者の案も混ぜて、共に作っていく場合があります。
「グランドルールを作らない」というグランドルールになるケースもあります。

※なお、Grand Ruleと間違わないよう、「グラウンドルール」と発音することもありますが、本稿では慣習的に発せられる「グランドルール」で統一します。

ビジネスにおけるワークショップにおいては、できれば全員が守るべきルールや方針は会議やワークショップの前に運営側であるファシリテーターが決め、最初に板書などで呈示しておきたいものです。ファシリテーターが先にルールを決めた方が良いと考える理由は2つあります。

一つは、ワークショップのゴール(目的・目標)を達成するためです。はじめに約束事としてルールづくりをしておくと、場をマネージメントしやすくなり、テーマにフォーカスをあてやすくなります。

もう一つは、声の大きい人に議論が引っ張られる、上司の顔色をうかがいながら発言するなど、各人が言いたいことを言えないことを事前に防ぐためです。特に企業からファシリテーションを任される場合においては、会社内のさまざまな事情(保有の生産ラインやコストなど)やしがらみ(上下関係など)があります。それらをいったんリセットして考えてもらわないと、枠組を取っ払った新しいアイディアは出にくいのです。

各人の意見をストレートに話し合い、相乗効果を発揮することを期待すべく、「この場では、自由かつ公平である」ということを予め伝えなければなりません


では、どんなグランドルールを策定したらよいのでしょうか。
一般的に知られているグランドルールとしては、ブレインストーミング法の創始者であるアレックス・F・オズボーンによって考案された「ブレインストーミングの4原則」があります(図1)。ブレインストーミングは、Brain(頭脳)とStorm(嵐)という言葉からの造語で、頭文字のBとSをとってBS(ブレスト)とも言われています。

図1オズボーンの4原則.gif

ブレストのルールというと、まず【批判厳禁】と言われていますが、石井力重の「ブレインストーミング考(ブログ)」によると、原点表記は「Defer Judgement」なので、正しくは、自由なアイディア抽出を制限するような結論は慎もうという「結論厳禁」や、現段階では判断を見送ろうという「判断遅延」なのだそうです。石井氏は、誰かのアイディアの良い点を探し出し、光を当て、それについてコメントする【良点発見(Praise First)】もルールに加えています。

筆者は、企業を相手にファシリテーションを行う場合、これらの要素に、役職など一切関係なし、皆が平等であるという【平等、対等】を設けることが多いです。
多くのケースで、オズボーンのブレスト4原則が基本になっているものの、グランドルールは、「ゴールやテーマ(目的・目標)」「スケジュール」「メンバーと役割分担」によって、その都度考える必要があります。


1995年にJuanita Brown(アニータ・ブラウン)とDavid Isaacs(デイビッド、アイザックス)によって開発された【ワールド・カフェ】のグランドルールを要約すると、図2(アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス著「ワールド・カフェ〜カフェ的会話が未来を創る〜」を参考に、筆者が加筆)の7つになります。

なお、【ワールド・カフェ】とは、「知識や知恵は機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考えに基づいた話し合いの手法で、日本でも、「ワールド・カフェ〜カフェ的会話が未来を創る〜」が翻訳されてから、頻繁に実践されるようになりました。

図2ワールドカフェのグランドルール..gif

どのグランドルールであっても、目的は「ゴールを達成すること」と「参加者全員が意見を言いやすい場を整えること」ですので、できるだけグランドルールは堅苦しくない方が良いですし、遊びがあってもいいくらいだと思います。

筆者が実践の現場で提示したグランドルールやFAJ(日本ファシリテーション協会)の定例会に参加する中で、ユニークだと思ったグランドルールを二つ紹介します。

一つ目は、「ねんどを用いたワークショップ」のグランドルールを紹介します。ワークショップのゴール(目的)は、ペルソナづくりでした。<あるブランドを使っている人>にねんどで自分を表現してもらうということを実施。この時は、考えるよりも、感じることを大事にしてもらおうと5つのグランドルールを用いました(図3)。

図3ねんどルール..gif

最近、ねんどを用いることが増えています。ねんどを介して対話するため、いつもよりもオープンマインドになれるようです。ねんどを使わないときよりも、場がリラックスした雰囲気になり、参加者の和やかな笑顔に出会えるからファシリテーションをしている筆者も楽しいです。指先は第2の脳と言われ、指先を使うと、リラックス効果やストレス解消、カンが鋭くなりひらめきが増える効果があるそうです。(余談ですが、ねんどは昨今、治癒やリハビリ目的で、医療領域でも用いられています。)


二つ目は、「中高年に向けたグランドルール」です。FAJ(日本ファシリテーション協会)の定例会で堀公俊氏が用いていたものが面白かったので、紹介したいと思います。
図4中高年用のグランドルール..gif

堀氏は、神戸生まれで、大阪育ちです。ダジャレのきいた面白いグランドルールは、冗談好きな関西人ならではの発想だなぁ、と感心しました。「語リスト」「仕切りテーター」「決めつけ魔王」は、「きれいごとではない"ぶっちゃけ"話をしたい」という気持ちから浮かんだようです。

確かに、キレイごと、型通り、受け売りを並べ立てても、ワーク中のモチベーションは上がりません。ワークショップに慣れている人ほど、「ブレストの基本は知っているよ。またか」と飽き飽きしているような態度を示したり、「きれいごとを並べてもそんなにうまくいかないもの」という反発心が表情ににじみ出ていることも少なくありません。そんな時に、このようなしゃれのきいたグランドルールは有効だと思います。