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リサーチャーのつぶやき 第48回「討論の進め方」

2015/10/15

タグ:吉田 聖美 討論の進め方 討論

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 シニア・ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

今どきの小学校では、「総合的な学習」という科目で「討論」のやり方を学ぶらしい。
就職試験や入試で集団討論が使われるというのは聞いていましたが、普通の公立の小学校でも授業でやる時代になったのですね。ということで、小学校5年生の娘の学校公開(いわゆる授業参観)に行ってきました。

討論のやり方については、総合的な学習の時間を使って、何度か学習を加えていくようです。そして、見学したのはその1回目。

初めてやるのでグダグダだと思う、、、と娘が事前に言っており、担任の先生からも初めての試みなので温かい目で見て下さい、と言われたとおり、グダグダと言えばグダグダだったのですが、「討論の進め方」のセオリーを習ったことがない私としては、「こういう進め方をセオリーとして学習していくのか」と興味深く見ていました。

黒板に貼られていた模造紙には「討論の進め方」として進行表が書かれていました。
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「討論の進め方」
 (1) 賛成グループの主張 2分
 (2) 反対グループの主張 2分
 (3) 作戦タイム 5分
 (4) 反対グループから賛成グループへの質問と答え 8分
 (5) 賛成グループから反対グループへの質問と答え 8分
 (6) 作戦タイム 5分
 (7) 賛成グループの主張 2分
 (8) 反対グループの主張 2分
 (9) 審判による判定 2分
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(1)で自分(たち)の主張をまとめ、意見を伝える練習、(2)で人の意見を聞く練習、(3)(4)で討論の練習、・・・と進んでいくのね、と見ていました。
司会進行も審判役も子どもたちがやっていました。司会の子は色々な意見が出て、時間のコントロールもあるし、大変そう、と自分のモデレーター業と重ね合わせて共感しつつの見学。

見ていて気付いたのですが、グダグダになっていた原因は、相手チームからの質問に対し、「そちらのチームこそどうなんだ」と返す「質問返し」、逆切れで相手に食って掛かるような「感情的な批判」、「議論のすり替え」に大別されていました。
 ・・・自分も気を付けなければ、と思わされる要因ばかりです。(議論のすり替えは自分が答えにくい質問を投げかけられたときに意図的にやっていたりもしますが)

今回に関しては、お題の「〇〇について賛成か、反対か」の〇〇が賛成・反対で討論しにくいものであったのも討論が難しかった要因だと思っており、討論の質の良さはお題の設定段階から始まっているよね、と思ったり。
(ちなみにお題は「飼われている犬は幸せか」と「暮らすなら北海道よりも沖縄の方が良い」でした)

飼われている犬ではなくて飼われているネコなら「飼いネコ」と「野良ネコ」で比較ができてやりやすかっただろうに、とか、北海道と沖縄は二者択一ではないよね、とか、そんなことを家庭で指摘していたら、「ママ面倒くさい」という目で娘に見られました、、、仕事意識が抜けず、すみません(笑)

見ていて面白いなと思ったのですが、討論って進んでいくと「自分が勝つこと」だけではなく、「相手が負けること」も考え出すんですね。自分の強みを伝えるだけでなく、相手の弱みを攻めはじめるんだ、と思いました。

これを調査に応用しても面白いかも、とまた仕事意識全開で考えています。
例えば、AとBというライバル関係にあるブランドがあるとする。AのユーザーとBのユーザーを4名ずつ呼んで討論を展開する。

先ほどの進行表に乗っ取ると
 「(1) AユーザーがAブランドの良さを主張」
 「(2) BユーザーがBブランドの良さを主張」
 「(3) AユーザーがBブランドの弱みを指摘、Bユーザーの反論」
 「(4) BユーザーがAブランドの弱みを指摘、Aユーザーの反論」
 「(5) AユーザーのAブランドについての総括」
 「(6) BユーザーのBブランドについての総括」
といった流れになるのでしょうか。

何を攻められたら心が動くのか、それでも気持ちが変わらないとしたらその拠りどころは何なのか、など。

なかなか全面的に採用することは難しいやり方ですが、そのエッセンスを入れ込んだ調査はあっても良いかもしれません。
どこにヒントがあるかわからないよね、と思いながら、今日もより良い聴取の仕方を考える日々です。