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リサーチャーのつぶやき 第51回 「アナウンサーに学ぶ【聞き方】」

2017/07/25

タグ:吉田 聖美 アナウンサー アナウンサーの質問レシピ 聞く力の教科書

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 シニア・ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

気になった本を紹介しつつ、現役モデレーターとしての視点を紹介する、というテーマで進めていますが、今回紹介する本は、


の2冊です。
どちらもアナウンサーの経験から得た「聞き方」「質問の仕方」をまとめた本になっています。余談ですが、20代の頃から、同僚と「モデレーターって女子アナみたい」という話をよくしていました。理由は・・・推察してみてください(笑)

 2冊の本の特徴として、『アナウンサーの質問レシピ』は「インタビューの中で効果的な質問をするための事前準備の重要性」に重きを置いており、『聞く力の教科書』は「聞いている最中の仕草、あいづちなどの具体的なテクニック」に重きを置いている印象があります。

 『アナウンサーの質問レシピ』で紹介されている「人に会う前に気分をリセットする」「朝自分にポジティブな質問を投げかけてポジティブな状態を作っておく」といったコツはインタビュー会場に向かう前からインタビューの準備は始まっている、ということを意識づけてくれますし、出会ってすぐに話しやすい話題を振って質問する側が話す側をリラックスさせることの重要性やそのための具体的な方法なども、改めてなるほど、と思いました。

 最初に場を作る方法ですが、モデレーターの教科書的には「会場に着いたら対象者の方と笑顔で挨拶、雑談をし、始まる前に場を温めておく」が正解です。が、私は実はこの雑談で場を温めるのが苦手・・・苦手なことを頑張ってやっていると相手にも伝わるんですよね。

 なので、割り切って、私は雑談はほとんどせずにインタビューに入りますが、冒頭のイントロダクション(会の主旨説明)で少し場が和むようなことを言って場の雰囲気をコントロールするようにしています。本にも書いてありましたが、インタビューに臨む上での自分が落ち着けるルートを作っておく、というのが大切なのかもしれません。


 『聞く力の教科書』は、具体的な「○○のときは△△」といった記述が全体のほとんどを占めています。そういう意味では目次を見て興味があるところ、自分に当てはまるところを読む、という使い方もできる本です。
 ちなみに、私が最も参考にしたのは、「好感度の上がるあいづちのパターン」。最もお勧めのあいづちは「言葉に出さず、黙ってしっかりうなずく」ことだそうです。あいづちのパターンというと、つい言葉のパターンを考えてしまいがちですが、「言葉を出さないあいづち」が一番良い、というのはちょっと目から鱗でした。


 どちらの本にも書かれていて、私が普段のインタビューの中でも意識していることは「内容や相手によって声のトーン(=声の高さとスピード)を変える」ということです。後輩モデレーターから「場の空気がまったりしてしまうんですが、どうすればよいですか」との相談を受けたときにこの話を思い出しました。

・話を盛り上げたいときは「高く、速く」、相手を落ち着かせるときは「低く、ゆっくり」あいづちを打つ
・場が停滞しているときは声のトーンを引き上げて速めに話す(質問する声のトーンが低いと盛り上がらない)
・場を落ち着けたいときはゆっくり&低めの声で話す

など、声のトーンは相手に合わせることで親近感を持たせることも、意識的に変えることで場の雰囲気をコントロールすることもできる有効な手段だと思っています。もちろん、効果がないときもありますけどね。


 今回紹介した2冊の本は、いずれも「質問の工夫」や「聞き方のスキル」について書かれた本です。
 でも、どちらの本にも、あとがきに書かれている言葉からは「相手に楽しんでもらうおもてなしの心」や「相手をもっと知りたい、理解したいという思い」が結局は「聞き上手」「質問上手」のスタート、という考えが読み取れました。スキルとマインド、どちらも忘れずに、1回1回のインタビュー、一人一人の対象者に臨んでいきたいものです。